雑多拾いもん

捨てる神あれば拾う神あり… 「博多通りもん」ならぬ、雑多な「拾いもん」について備忘録がてら綴っています。

ヒスイの見分け方⑤〜比重編〜

ヒスイを見分ける方法としては、主に肉眼で鑑定する方法と比重を測る方法があります。

肉眼でヒスイを見分ける方法は以前に紹介しましたので、今回は比重を測る方法についてご紹介していきます。

※過去の記事①〜④はこちら↓

cetriolo.hatenablog.com

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さて、比重を測るために以下のものを用意します。

  • キッチンスケール(0.1g単位まで計測できるもの)
  • 比重を測りたい石
  • コップ(出来れば軽いもの)
  • 石を吊るすための糸
  • 紙とペン

f:id:cetriolo:20221204173523j:image(準備するもの)

なお、今回はこの4つの石の比重を測ります。肉眼鑑定が得意な方なら写真だけで判断できると思いますが、最近拾い始めたという方は是非どの石が何なのか想像してみて下さい。

f:id:cetriolo:20221204173317j:image(全て糸魚川の海岸で拾った石)

①それぞれの石の重さを測り、メモします。

②水を入れたコップをキッチンスケールに乗せ、重さが0になるようリセットします。

f:id:cetriolo:20221204173912j:image

③糸を石に括ります。糸は投げ縄の要領でまず輪を作り、石を輪の中に入れた後に落ちない様に絞って調整します。

f:id:cetriolo:20221204174215j:image

④石を括り付けた糸を②のキッチンスケールに乗せたコップの中に垂らし、石が水中で宙吊りになるようにします。この時の数値が石の体積になりますので、メモします。石がコップの底や側面に当たったり、石の一部が水から出ていたりすると正確な数値が測れない為、気を付けて下さい。

f:id:cetriolo:20221204174422j:image(この数値が体積になる)

⑤メモした「石の重さ」を「石の体積」で割り、比重を算出します。例えば重さが22.6g、体積が7.0㎤なら

22.6÷7.0=3.22

となり、この3.22が石の比重となります。

f:id:cetriolo:20221204174939j:image(丸で囲った数字が其々の石の比重)

比重が出たら、大凡の判断が可能になります。糸魚川で拾えるヒスイやヒスイに似た石の比重は以下の通り(岩石なので含まれる鉱物の含有量によってばらつきあり)です。

ヒスイ:3.3前後

ロディン岩:3.3前後

曹長岩:2.6前後

蛇紋岩:2.6前後

石英:2.7前後

石英斑岩:2.6前後

流紋岩:2.5前後

キツネ石:2.6前後

コランダム:4.0前後

葡萄石:2.9前後

では、4つの石について比重から正体を推測していきましょう。

f:id:cetriolo:20221204214940j:image

この石は比重3.43ですので、ヒスイかロディン岩かということになりますが、そうなると比重だけでなく他の要素から判断する必要が出てきます。この石は、色や形の特徴(練り消しゴムの様な質感・キャベツの様な黄緑色・柔らかそうな曲線)からロディン岩でしょう。

f:id:cetriolo:20221204215121j:image

この石は比重2.92です。少し透明感がありますが、比重から石英ではないことが分かります。またこの程度透明感があるヒスイなら比重は3.20くらいになってくるはずですので、ヒスイでもなさそうです。ヒスイの結晶も確認出来ない為、おそらく葡萄石が大目に含まれたロディン岩あたりと推測されます。

f:id:cetriolo:20221204224806j:image

この石は比重3.22です。ヒスイかロディン岩かということになりますが、形や色、結晶からヒスイと判断できます。

f:id:cetriolo:20221204215331j:image

この石は比重3.52です。薄いピンクでラベンダーヒスイの様にも見えますが、ヒスイの比重を大きく超えています。更によく見ると横に細かい筋が入っているため、これらを総合的に考慮するとコランダムだということになります。なお、コランダムの比重は4.0前後ですが、この石には一部白雲母と思われる部分があるため、それで比重が軽くなっていると思われます。

という事で、比重を測るとヒスイ(&ロディン岩)かそれ以外の石かをアバウトに判別することが可能です。

ただし、ヒスイでも他の鉱物と混じりが多いものは比重3.0を切ってきたりしますので、比重だけでなく、やはり結晶・色・形から複合的に判断する必要があります。