雑多拾いもん

捨てる神あれば拾う神あり… 「博多通りもん」ならぬ、雑多な「拾いもん」について備忘録がてら綴っています。

ヒスイの見分け方③〜曹長岩とクリソプレーズ編〜

今回の記事ではキツネ石より見分けが付きにくい、曹長クリソプレーズについてお話していきます。

曹長

曹長岩は曹長石を主とする変成岩で、この曹長石の化学組成はNaAlSi3O8と非常にヒスイ輝石に似ています。しかもこれらは連続するため、一つの石に曹長石とヒスイ輝石が混ざったもの(所謂混じり)が沢山あります。

では、早速曹長岩とヒスイの違いを見ていきたいと思います。

f:id:cetriolo:20220526164653j:image(左が曹長岩、右がヒスイ)

上の写真、どちらも糸巻模様があり、糸巻ヒスイに見えます。また、写真では分かりませんが、どちらも細かいラメのようなキラキラもあります。しかし、アップにして比べると…

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左の曹長岩は右のヒスイに比べて、求肥に包まれたような透明感がなく、より岩石っぽい雰囲気があります。これは主たる造岩鉱物の曹長石が風化すると白濁することが原因かと推測します。

f:id:cetriolo:20220526171952j:image(曹長岩の表面のアップ)

曹長岩もヒスイも白いのですが、全体的に曹長岩の白色の方が、黄色っぽい感じなのに対して、ヒスイは青っぽい感じです。例えるなら、曹長岩の白色は蛍光灯の昼白色で、ヒスイの白色は蛍光灯の昼光色というようなイメージです。この違いも、やはり主たる造岩鉱物の曹長石とヒスイ輝石における結晶の色の僅かな違いによるものではないかと考えます。

ただ、曹長岩は比重が2.6前後のため、比重を測れば判別可能という点で、次回紹介するロディン岩と比べると、判別は容易かと思います。

続いて、ヒスイと間違えやすいクリソプレーズについてお話します。

クリソプレーズ

クリソプレーズは鉱物名ではなく宝石名で、鉱物的には微量のニッケルを含んだ繊維状の石英ということになります。

石英ですからこちらも比重を測れば一発なのですが(石英の比重は2.7)、とりあえず肉眼での違いを見ていきます。

  • クリソプレーズの見た目

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上の写真のクリソプレーズは、色と透明感が高品質のヒスイによく似ています。

しかし、これだけ透明感のある高品質なヒスイであるならば、ヒスイ輝石の含有量が極めて多いために表面は結晶でキラキラと輝く筈ですが、それが一切見当たりません。

また、石英は劈開がないため、割れ方も貝殻状断口と言われるガラスっぽい割れ方をしており、カクカクしたヒスイとは雰囲気が異なります。

  • 透過

石英全体に言える事ですが、光を当てるとクリソプレーズはピカッと全体が電球のように光ります。

f:id:cetriolo:20220527081304j:image(クリソプレーズの透過)

一方でヒスイの透過はふんわりと間接照明のように光る感じです。

f:id:cetriolo:20220527081251j:image(ヒスイの透過)

それでは次回、最もヒスイと見分けが付きにくい「ロディン岩」についてお話していきます。

※次の記事はこちら↓

cetriolo.hatenablog.com