雑多拾いもん

捨てる神あれば拾う神あり… 「博多通りもん」ならぬ、雑多な「拾いもん」について備忘録がてら綴っています。

ヒスイの見分け方②〜キツネ石編〜

ヒスイ拾いに興味を持って調べると、必ず「キツネ石」という言葉が出てきます。

このキツネ石は、特定の鉱物や岩石を示すものではなく(とは言っても、その多くはニッケル含有珪質変成岩)、あくまでヒスイ拾いをされる方の間で呼ばれる俗称です。

これをあえて定義付けるなら「拾った時(=濡れている時)には緑色の美しいヒスイのようだが、乾くとまるでキツネに化かされたように普通の地味な石ころに変わってしまう石」というところでしょうか(この定義で言えば、ネフライトやロディン岩は乾いても地味な石ころに変化する訳ではないので、このブログではキツネ石に含めません)

ヒスイ拾いを始めた方、特にヒスイ=緑色のイメージの強い方は間違えて拾ってしまうことが多いと思います。

実際、自分もヒスイ拾い当初はキツネ石を拾っていましたし、乾いてからも「これはヒスイかも知れない」と思っていたこともありました。

そこで、ヒスイと間違えやすいキツネ石をあえて紹介していきたいと思います。

キツネ石

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上の写真の石は全て濡れている状態です。①は黒〜灰色地に鮮やかな緑のスポット、②は鮮やかな緑に白いサシ、③はちょっと透明感がある緑、④は明るい緑、どれもヒスイ拾い初心者であればヒスイに見えてもおかしくないと思います。

ちなみに自分は拾い始めた頃に、ヒスイの勉強の為にフォッサマグナミュージアムに行き、その後は逆にキツネ石を沢山拾ってしまうという状態に陥りました。なぜなら、キツネ石は上質のヒスイに見た目が似ており、ミュージアムには海岸では滅多に拾えないような上質のヒスイが並んでいる為、「ヒスイ=鮮やかな緑」のイメージが刷り込まれてしまったからです。

さて、上のキツネ石は乾くと下記の写真のように変化します。

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今でこそヒスイとは似ても似つかないと分かるのですが、実は乾いても多少緑色の部分が残るので、初心者の頃はこの状態でも「ヒスイかも知れない」と思っていたのです。

では、どこがヒスイではないのか、過去の自分に向けて一つ一つ説明していきます。

①の石は黒ヒスイ(よく金山谷系と言われるもの)に似ていますが、そもそもヒスイはここまで表面はガサガサではありません。ガサガサしたヒスイもありますが、粉が吹いたようなガサガサ感はキツネ石です。形も丸すぎるし、緑色も表面的でヒスイの緑とは異なります。

②白と緑の組み合わせのヒスイはありますが、白が肉の脂身のようにその部分のみ凹んだり分離しているような感じのものはヒスイにはあまり見られません。そしてこの石、飴細工のように筋っぽいガサガサがあります。ヒスイは飴細工のような筋っぽさはありません。

③形も触った雰囲気もヒスイっぽさがありますが、乾いてここまで色が変化するのはキツネ石。ヒスイは多少乾くと色が薄くはなりますが、こんな「ねるねるねるね」のような色の変化はしません。

④緑色が嘘くさく、まるで木材に水性絵の具で緑色を塗ったように表面的です。ヒスイは非常に薄い求肥のような膜があるような感じで、色が表面的ではありません。

比重を測ればキツネ石は比重2.6前後なので一発で判別可能ですが、持ち帰る前に選別出来る様になるに越したことはありません。

次回は、キツネ石よりもヒスイとの区別が付きにくい「曹長岩」と「クリソプレーズ」についてお話します。