雑多拾いもん

捨てる神あれば拾う神あり… 「博多通りもん」ならぬ、雑多な「拾いもん」について備忘録がてら綴っています。

妖星乱舞

今週末、糸魚川市の天気は晴れ予報。天候予測アプリでも、波・風ともに穏やかとの予測結果。

…これは千載一遇のチャンス!と言う事で、残業続きで落ちに落ちた気分をリフレッシュすべく、糸魚川へとヒスイ拾いにやってきました。

前回及び前々回と、なかなか厳しい結果が続いているヒスイ拾いですが、今回こそ綺麗なヒスイに出会うことは出来るのか、期待と不安を抱えながら海岸に向かいます。

予報通り天気は晴れ。風は冷たいものの強くはありません。一方、波は0.2m予報でしたが、波の中を見れるほどに穏やかではありませんでした。

f:id:cetriolo:20240406203039j:image(石が出ているところもあったが、多くは小砂利の浜になっていた)

波打ち際には釣り人の方が多くいらっしゃったため、通常よりもやや陸地側を歩いていると、カクカクとした薄緑色の石が落ちていました。

f:id:cetriolo:20240406203420j:image(106g、比重2.94)

向かって右端の一部が別の石(曹長石?)になっているため、比重自体は低めですが、その部分以外の場所はバキバキに結晶が確認出来る(バキ結)のヒスイです。海焼けが少し目立ちますが、透過も綺麗でした。

f:id:cetriolo:20240406212947j:image(淡い緑色)

久しぶりに透明感のあるヒスイが拾えて喜んでいると、その数十分後、今度は波打ち際で糸巻きヒスイ系統の小さなヒスイを発見。

f:id:cetriolo:20240406213303j:image(12g、比重3.12)

さらに数分後、また波打ち際でやや他の石との混じりが多いものの、薄い緑色が入ったヒスイを発見。

f:id:cetriolo:20240406225047j:image(42g、比重2.98)

自分にしては珍しく立て続けにヒスイが拾えたので、「やっぱり今日はヒスイ拾いに来て良かったなぁ」等としみじみ考えながら歩いていると、波打ち際よりも少し陸側の、石が半乾きになっている場所に、今度は紫色の石?が落ちているのを発見。どうやら紫水晶の様です。

以前に何回か、周辺の山から糸魚川の海に流れ着いたと思われる紫水晶を海岸で拾ったという方をネット上で見かけた事があったので、これもそういった紫水晶かと思い、確認の為に拾い上げると…

f:id:cetriolo:20240407000835j:image(なにィ⁈)

紫水晶だと思ったその石は、まさかのラベンダーヒスイだったのでした。あまりにも紫色が濃いため、遠目から見た際には紫水晶に見えたというわけです。

蝋のような白地に濃い紫色がまだらに滲んだ、所謂「妖精ラベンダー」と呼ばれるタイプのヒスイです。自分はこの妖精ラベンダーを今までカケラでさえも拾った事がなく、いつか拾ってみたいとは思っていましたが、ようやく今日初めて拾う事が出来ました。

f:id:cetriolo:20240406223136j:image(92g、比重3.32)

f:id:cetriolo:20240406224151j:image(紫色の透過)

出かける際、カーナビが「今日は『城の日』(4・6の語呂合わせ)」だとアナウンスしていたのを思い出し、この妖精ラベンダーは「お城ヒスイ」と名づける事にしました。

正直、もう今日はこれ以上のヒスイを拾える気がしませんし、これ以上を望むのも強欲な気がしたので、今日はこれで帰る事にしました。

f:id:cetriolo:20240406225740j:image(本日拾った石。ラベンダーヒスイの色が濃いため、まるで写真の色を加工したように見える。)

さて、今日拾った石のうち、海焼けのある薄緑色のヒスイと妖精ラベンダーは波打ち際より陸側の目立つ場所で見つけています。おそらくどちらの石も、昨晩のうちに打ち上がっていたのでしょう。しかし朝になって海岸線が沖に退き、多くのヒスイハンターの方々は波打ち際を歩くため、深夜の時点では海岸線だった場所がちょうど見落とされていたのではないかと推測します。

よくヒスイ拾いは運だと言われますが、自分は拾いやすい日(=見つけやすい日)とそうでない日があり、それは当日の天候や波の高さに加え、前日の波の状態や海岸線の位置等、様々な要因が絡んでいるのではないかと感じます。

何はともあれ、初の妖精ラベンダーです。嬉しい半面、既に今の時点でお城ヒスイが今年のNo. 1ヒスイにほぼ確定してしまった感があり、少々寂しくもあります。

果たして、お城ヒスイを超えるヒスイと今後出会えるのでしょうか。

今年初のヒスイ拾い

週末の糸魚川が晴れ予報でしたので、久しぶりにヒスイ拾いに行く事にしました。

本当は土曜日に行きたかったのでしたが、金曜日は残業で帰りが深夜になってしまったため、今回は珍しく日曜日のヒスイ拾いです。

海岸に到着。今日はあまり魚が釣れない日なのでしょうか。釣り人は殆どおらず、駐車場はガラ空きでした。

天気は時折晴れ間が広がるものの、基本的には曇り空です。波はそこまで激しくなく、波打ち際を歩ける状態でした。

f:id:cetriolo:20240320174501j:image(波高0.9m、石も出ている)

思えば、年が明けてからは週末が雪だったり波が高かったりすることが多く、糸魚川へ行くのを見送っていたため、今回が今年初のヒスイ拾いになります。昨年の初拾いは「端材」でしたが、今年はどんなヒスイと出会えるのでしょうか。

さて、良い感じに石が出ており、ロディン岩も多く落ちていたので、ヒスイも簡単に拾えるかと思いきや、なかなかヒスイは見当たりません。

そんな中、追い討ちをかけるように、今にも雨が降りそうな空に変わり、風がどんどん強くなって白波が立つ状態になってきました。

ようやく歩くこと2時間にして、小さな白〜薄いグリーンの小さなヒスイと、所謂「灰ラベ」と呼ばれるやや紫がかった灰色のヒスイを見つけましたが、その頃にはかなり風も波も強くなっていましたので、ここで残念ながら、ヒスイ拾いを諦めるにしました。

f:id:cetriolo:20240320181036j:image(右は8g、裏側は別の岩石と混ざっているため比重2.90と低い。左は76g、比重3.01。)

今年初めてのヒスイ拾いなので、もっと透明感のある美しいヒスイを拾って新たな年の幕開け(もう3月ですが)を飾りたかったのですが、そんなドラマチックな展開は残念ながら起こりませんでした。

ところで、毎月(1月と2月を除く)第3日曜日には市振で「ヒスイ市」が開催されています。このヒスイ市の存在は知っていたものの、今まで第3日曜日に来る機会がなかったために行った事はありませんでしたが、今日は丁度第3日曜日ですので行ってみる事にしました。

ヒスイ市の開催場所ですが、道の駅市振よりもやや親不知側に300m程進んだ8号線沿いにあり、開催日にはのぼり旗が複数立っているのですぐに分かります。

複数の業者さんがヒスイの原石や加工品等を販売しており、ヒスイオンリーのコンパクトなミネラルショーと行った感じです。

ところでこのヒスイ市、あまり大々的に開催のアナウンスをしている感じではありませんが、自分が行った時には老若男女問わず多くの方が来場されており、お気に入りの石を探すべく、色々な石を手に取っていました。

ヒスイ市の開催日には滅多に来れませんし、今日のヒスイ拾いの結果も相まって、ここぞとばかりに自分も石を購入。

f:id:cetriolo:20240322080749j:image(購入品。こんなレベルを拾いたい。)

もちろんヒスイは自分で拾う方が楽しいですし、拾ったヒスイの方が愛着も湧きますが、一概にヒスイと言っても色々なカラーやタイプがありますので、その中から好みのヒスイを拾う事はかなり難しくもあります。特に自分は白地に淡いパステルグリーンの入った優しい色合いのタイプのヒスイが好きなのですが、そのタイプがあまり拾えないので、今回大きなもの(328g)を購入してみました。

リーズナブルな価格帯のものが沢山ありましたので、遠路遥々ヒスイ拾いに来たもののヒスイが拾えなかった方、好みのヒスイが欲しい方、どんな石がヒスイかを知る為に見本となるヒスイが欲しい方は、第3日曜日にヒスイ市でヒスイを探されてみるのも良いかも知れません。

砂山の蛍石

本日の太平洋側は天気も良く、絶好のドライブ日和という事で、三重県いなべ市砂山へと蛍石探しをしに行く事にしました。

こちらは「関西地学の旅 宝石探し(大阪地質学研究会/東方出版)」に宇賀渓谷の蛍石として紹介されている場所で、砂山という山の登山道の途中に2箇所程昔の蛍石を採掘していた鉱山の坑口があり、その周辺でバイカラーの蛍石が拾えるそうです。

因みにこちらの場所は蛍石の採掘は禁止」ですので、周辺の地面を掘っての採集は出来ません。あくまで落ちている石を拾うのみになります。

さて、砂山の登山口に到着。砂山は1時間以内で簡単に登れる山ですので、ファミリーや御年配の方にも適しています。天気が良く、暖かいこともあり、既に何組ものグループが登山をしたり、石探しをされたりしていました。

f:id:cetriolo:20240324074255j:image(花崗岩の山なので、どこを見ても真砂土)

登山道を15分程進むと、坑口があります。

f:id:cetriolo:20240324073017j:image(1つ目の坑口。側に立入及び採掘を禁止する立て看板があったが、雪の重みだろうか、倒れてしまっていた。)

f:id:cetriolo:20240324073440j:image(2つ目の坑口。こちらはちょっと分かりにくい。)

坑口周辺の石をよく見てみると、普通の花崗岩やその真砂土の中に、まれに緑色や紫色の透明感のある石が混ざって落ちていました。

f:id:cetriolo:20240324074222j:image(この産地の特徴である鮮やかな紫色と緑色のバイカラー)

f:id:cetriolo:20240324074452j:image(霜降りの様に紫色が入っているタイプ)

f:id:cetriolo:20240324074544j:image(1cm程の小さな水晶)

結晶が出ているものはなく、殆どが残念ながら劈開面です。また、福井県の面谷鉱山のようなボリューム感のあるタイプではなく、薄く脈状になっている感じのタイプが多い印象です。しかし、国産の蛍石は淡い色合いのものが多いのに対し、砂山の蛍石は海外産のような鮮やかな発色があり、これが砂山の蛍石の魅力であると感じます。

折角来たからには、砂山の頂上を目指します。砂山の頂上は、坑口から少し登った先にあります。距離自体は短いのですが、1箇所ロープを使って真砂土の斜面を登る場所がありました。

f:id:cetriolo:20240324075250j:image(山頂からの景色)

f:id:cetriolo:20240324075451j:image(山側の景色)

砂山はかなり登山道が整備されており、道中の景色の変化も楽しいので、体力に不安のある方にも適した場所だと思いました。

ただ、日陰がないので夏場はキツそうです…。

アンチモンの里

折角高知県まで来ましたので、2日目は少し足を伸ばして愛媛県市之川鉱山を見学しに行く事にします。

市之川鉱山と言えば輝安鉱。輝安鉱は市之川鉱山のこと。そんなサントリー烏龍茶のようなキャッチコピーが似合うくらいに、市之川鉱山の輝安鉱は大変立派で、大英博物館スミソニアン博物館にも展示されるなど、世界的にも有名な輝安鉱の産地となっています。

既に市之川鉱山は閉山して久しいのですが、鉱山跡近くに小学校を改装した公民館があり、その中に鉱山資料館があるという事なので、今回向かってみたのでした。

しかし、ナビで公民館を設定した筈なのに、どんどん住宅地からは離れた山の中へと誘導されていきます。カーブや傾斜がキツくなり、対向車が来たら詰むような細い山道を進みながら「地域住民の憩いの場である公民館が、果たしてこんな山奥にあるのか…」と不安になってきました。

すると、いきなり視界が開け、小学校のような建物とグラウンドが現れました。どうやらナビは間違っていなかったようです。

グラウンドにはアンチモンの里」とあります。

f:id:cetriolo:20240320194707j:image(ようこそ!ここはアンチモンの里だよ!)

たけのこの里でも刀鍛冶の里でもなく、アンチモンの里です。アンチモンを知っている方は良いのですが、アンチモンを知らない方からすれば、何やら怪しい団体の施設だと誤解しまうのでは…と要らぬ心配をしてしまいます。

因みにアンチモンとは半金属の元素の1つ(元素記号はSb)で、難燃剤や鉛電池等に使用されるレアメタルです。このアンチモンが輝安鉱に含まれる事から、輝安鉱の産地であった市之川鉱山は「アンチモンの里」という訳です。

丁度公民館の館長さんがいらっしゃったので、鉱山資料館を見学させて頂きました。

レトロな木造の校舎をそのまま利用した公民館ですが、鉱山資料館の内装はリノベーションされており、非常に綺麗な展示になっています。

f:id:cetriolo:20240320233054j:image(清潔感のある展示室)

f:id:cetriolo:20240320233130j:image(大きな輝安鉱)
f:id:cetriolo:20240320233700j:image(かっこいい輝安鉱)

なお、見学は無料で、写真撮影は一部の資料を除いて可能です。

f:id:cetriolo:20240320234302j:image(1人1つまで頂ける輝安鉱のミニ標本。小さな水晶も。)

入館料が無料なのが申し訳ないくらい、貴重な資料と輝安鉱の立派な標本が沢山展示されていますので、これからも存続して欲しい施設だと感じました。

その帰りに、近くにある別子銅山にも寄ってみました。こちらは現在、マイントピア別子という鉱山施設を利用したテーマパークになっており、道の駅が併設されるなど、かなり商業化されておりました。

f:id:cetriolo:20240321123257j:image(遺構が沢山ある)
f:id:cetriolo:20240321123232j:image(散策も可能)

ここは純度の高い黄銅鉱が産出し、その後の住友グループ発展の礎となった日本3大銅山の1つでもあります。

残念ながら既に日が暮れかけており、ゆっくり見学する事は出来ませんでしたので、また機会があれば次回は色々と見学したいと思います。

お〜い!珊瑚

3連休、今回こそヒスイ拾いに行こうと思ったのですが、予報ではどうも天気が芳しくありません。

こういう時は太平洋側…という事で、今回は石拾いから離れ、高知県鰹のタタキを食べに行く事にしました。

さて、このブログは他の方のブログやSNSに比べると食事についての写真や記述が少ないのですが、それというのも、自分は旅行等で食事を楽しむタイプではなく、寧ろ「食事をとる時間が勿体ない」と感じるため、大体道中での食事(?)はコンビニのコーヒーかモンスターエナジーを飲んで終了なのです。

ですから、そんな自分が「鰹のタタキを食べる」という理由で高知県まで出掛けるのは珍しい事なのですが、高知県に出張に行った人は皆、戻ってくると揃いも揃って「高知県は良い。特に鰹のタタキが美味い。」とすっかり謎の高知県推しになってしまうため、そんなに人を魅了する高知県の鰹のタタキとは一体どのくらい美味しいのか…と気になり、興味本位で行く事に決めたのです。

高速をひた走り、高知県に到着。取り敢えず高知県といったら、まずはここに行かなければいけません。

f:id:cetriolo:20240311160337j:image(桂浜の坂本龍馬像)

…想像していたよりも、随分と高い位置に龍馬がいます。勝手にくいだおれ太郎くらいのサイズと距離感だと思っていましたが、幕末の志士に軽々しく接するのはいかんぜよという事でしょう。

個人的には龍馬像よりも、龍馬像の下で熱心な龍馬ファンと思われる方が、自作?の幕末の人物番付表を配っていたのが印象的でした(勿論西の横綱坂本龍馬になっていました)。いつの時代も、何歳になっても「ぼくのかんがえたさいきょうのめんばー」を考えたりするのは楽しいものです。

ところで、高知県はサンゴの産地でもあります。それを知ったのは、父親が高知県に出張した際に、母親にサンゴのアクセサリーを土産に買ってきたからなのですが、母親はそのデザインが好みではなく、逆に父親に対してセンスが悪いと不満を述べ、結局ケンカに発展してしまったのをよく覚えています。

そんな何とも微妙な思い出のある高知県のサンゴですが、県内にはいくつかのサンゴ専門店があるという事なので、色々覗いてみる事にしました。

f:id:cetriolo:20240311184043j:image(アニメ映画「竜とそばかすの姫」でも登場する帯屋町商店街入り口。入り口の両サイドにもサンゴ専門店がある。)

そもそも今までの人生において「サンゴとは何か」などと考えたこともなく、聞かれたとしても「ワカメや昆布の仲間でちょっと硬いやつ」位の認識でしたが、サンゴ専門店の店員さんから、サンゴは植物ではなく動物であると教えて頂きました。なお、サンゴ(沖縄等で見られるサンゴ礁を形成する六放サンゴではなく、宝石として利用される八放サンゴ)は深海で生息しているため、人間が潜水して採取するという方法は取れず、錘を付けた網を沈めて潮の流れでサンゴが引っ掛かるのを待つというアナログな方法で採取しているそうです。

そんな話を聞くうちにサンゴの標本が欲しくなり、お守り用として販売されていた原木のカケラを記念に購入させて頂きました。

f:id:cetriolo:20240311182057j:image(赤サンゴと桃色サンゴ)

すっかり幕末番付表とサンゴに気を取られて忘れかけていましたが、当初の目的である鰹のタタキを食べます。

f:id:cetriolo:20240311173207j:image(厚切りで臭みがなく美味しい)

高知県、いい所です。

黄鉄鉱きゅーぶ!

今日は奈良県桜井市に黄鉄鉱を拾いにやって来ました。

ここの黄鉄鉱は「針道の黄鉄鉱」と呼ばれ、スペインのナバフン鉱山で見られる様な立方体の結晶をしたものをはじめ、八面体や十二面体など多様な結晶形のものが拾える事で有名です。

詳細な産地の場所は、多くの書籍や他の方のブログ等に掲載されていますので、ここでは割愛しますが、この産地は今まで自分が訪れた中では最も到達するまでが大変だったと感じました。

まずは山道を1.5kmほど歩いて黄鉄鉱の産地まで行きます。この山道はしっかり舗装された広めの道で、一見車で行けそうな感じなのですが、進むとすぐに車止めがあるので歩いて行くしかありません。

しかし、この道が結構ハードです。かなり傾斜のある上り坂がずっと続きますので、1.5km程度とは思えない疲労感を与えてきます。自分は富士山を始め、いくつかの山に登ったことがありますが、今回は登山と違って、山頂の景色が目的でないことに加え、周辺の景色もずっと単調で飽きることが、この疲労感の一番の原因だと推察します。

前日に読んだ「デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場(河野啓/集英社)」の影響からか、さも自分がエベレストへの登頂チャレンジをしているかのような気持ちになってきました。

さて、自分の中でエベレスト扱いとなった山道を登りきり、ようやく産地と思われる場所に到着。白い粘土状になったセリサイトの中に、0.5〜1cmの黄鉄鉱がキラキラしているのが見えます。

f:id:cetriolo:20240302115448j:image(白い部分が粘土)

粘土の中にお目当ての黄鉄鉱が含まれているため、この粘土を袋などに入れて持ち帰り、自宅等で粘土を洗い流して黄鉄鉱を採集するという方法を取る方が多いようですが、粘土を持ち帰るのも大変なので、自分は粘土から露出しているものや落ちているものを拾うことにしました。

f:id:cetriolo:20240302115949j:image(色々な結晶形の黄鉄鉱が見つかる)

f:id:cetriolo:20240302120055j:image(酸化被膜によるものだろうか、虹色の黄鉄鉱もあった)

ところで、この場所はかつて鉱山だったようで、この黄鉄鉱が見つかる場所からわずか1分程奥に進んだ斜面には、坑口がありました。

f:id:cetriolo:20240302120751j:image(奥は埋まっている)

この坑口付近では辰砂が拾えるという情報もありましたが、自分は見つけることは出来ませんでした。

さて、帰りはまたこの山道を下っていくわけですが、今度は落葉で滑るという罠が待ち受けています。一般的なスニーカーよりもグリップ力の強いアウトドア用のシューズを履いていましたが、それでも何回か滑って転びそうになりました。

家に帰って黄鉄鉱を水洗い。結晶の隙間に入り込んでいた粘土は、簡単に歯ブラシで水洗いをするだけで綺麗に落ちます。

f:id:cetriolo:20240302223723j:image(洗浄後)

黄鉄鉱自体は色々な場所で見かけますが、ここまで綺麗な結晶のものが沢山拾えるのは珍しいと思います。

しかし、意識低い系拾い人の自分は「もっと楽していい感じの石を拾いたい…」と感じた産地なのでした。

山田鉱山のバラ輝石

3連休の2日目、今日は三重県伊賀市にある山田鉱山へバラ輝石を拾いにやってきました。

こちらも1日目に訪れた玻璃長石同様に、「宝石探し2(東方出版)」で紹介されている産地で、やはり初心者向きの石拾いスポットの様です。

山田鉱山は1970年代まで採掘が行われていたマンガン鉱山で、現在もズリではバラ輝石や満礬柘榴石等が見つかるとの事。

舗装された農道の先に鉱山入り口があり、そこから雑木林の中の遊歩道を10分程度進むとすぐに、分かりやすい場所にズリ場がありました。流石に前日の玻璃長石の産地と比べると山の中ではありますが、ここも電波はギリギリ入る場所です。人気かつ有名な場所という事もあり、この日は他にも複数のグループの方が採集に来られていました。

f:id:cetriolo:20240225180809j:image(ズリ場)

ちなみに、ここに落ちている石の殆どがピンク色のバラ輝石。ですから、バラ輝石を探す…と言うよりは、自分の気に入ったバラ輝石を選ぶと言う方が正しいかも知れません。

一方で、ここで拾えるもう一つの鉱物である満礬柘榴石はなかなか見当たりません。落ちている石をひっくり返しては確認し…を繰り返して1時間、ようやくオレンジ色の小さな満礬柘榴石の付いた石を見つける事が出来ました。

f:id:cetriolo:20240225181443j:image(拾った石。上2つがバラ輝石、下2つが満礬柘榴石。)

ネット上の情報によれば、バラ輝石はクエン酸で洗浄すると綺麗になるとの事でしたので、帰宅後にたまたま家にあった掃除用の「激落ちくんクエン酸の液体スプレーをかけて放置すること2時間…

  • バラ輝石

f:id:cetriolo:20240225182405j:image(横約5.5cm、縦約3.5cm)

拾った時は、酸化によって新鮮さが失われたサツマイモのようなぼんやりした色味だったバラ輝石が、バラの名に相応しい鮮やかなピンク色になりました。激落ちくんも、まさか石ころの洗浄に自身が使用されるとは思っていなかったでしょうが、マンガン系鉱物の洗浄には、激落ちくんのクエン酸は有効だと思います。

  • 満礬柘榴石

f:id:cetriolo:20240225182410j:image(満礬柘榴石の大きさは約3mm程。この産地の物は、結晶の形がはっきりしている上に透明感があって美しい。)

また真っ黒に酸化していた満礬柘榴石の母岩も汚れが落ち、柘榴石の結晶が見えやすくなりました。

この後、近くの川で鉄電気石が拾えると上記書籍にありましたので、それっぽい場所を探して見ましたが、結局よく分からず、鉄電気石を見つけるには至りませんでした。

最近は旅行も兼ねて国産鉱物を拾うのが楽しくなってきていますが、そろそろまたヒスイ拾いに行きたい…と思ったりしているのでした。