雑多拾いもん

捨てる神あれば拾う神あり… 「博多通りもん」ならぬ、雑多な「拾いもん」について備忘録がてら綴っています。

長石はどこへ消えた?

唐突ですが、自分の好きな石の一つに「長石」があります。長石はグループ名ですので、色々な種類がありますが、その中でも特にカリ長石は、モダンな造形と双晶の多さが魅力的だと感じます。

名古屋ミネラルショーで、いくつかの立派なバベノ式双晶のカリ長石を見かけましたが、一周会場を回っている間に良いなと思っていたものは買われてしまって以来、長石への執着は高まる一方…。

という事で、今日は長石を探しに某ペグマタイト産地へとやって来ました。

また情報はネット頼り。とは言え、有名な場所は既に採取禁止になっていたり、先人達に採集し尽くされていたりで、来ては見たものの、なかなか石探しに適した場所が見つかりません…。

最近では、立派な鉱物標本を短時間でゲットしている動画等がSNSYouTube等に沢山アップされていますので、ソロの初心者でも簡単に見つけられると錯覚してしまいますが、多くの場合、産地の詳しい情報をそれなりに得ている事が前提になっているものだと思われます。

鉱物趣味の仲間や知人のいない自分の場合、そもそも得られる情報が少なく、ふわっとした情報から産地を探すところからスタートなので、なかなかスムーズには行きません(だからこそ、「ソロで鉱物採集やボトルディギングをしてみたい」という初心者の方に向けて、自分のリアルな失敗や成果等を伝えていくというのが、このブログの趣旨の1つでもあります)

さて、仕方がないので、それっぽい露頭や崖を探しながら不審者の如くウロウロしていると、人気のある産地からは大分離れた林道の奥に、真砂土の広がった小さな荒地を発見。少し気になったので、ちょっとだけ何か落ちていないか見る事にしました。

真砂の中に小さな長石や水晶でも落ちていれば…と思いますが、残念ながら特に目ぼしいものは見当たりません。あるのは細かい石英粒、風化した長石のカケラ、オロナミンCの瓶の破片等です。

たまたま見つけた小さな荒地に大したものがあるわけないか…と、帰る事を考え初めていると、木の根元に2cm程の水晶かガラス片か一見不明の透明な塊が落ちているのに気付きました。

f:id:cetriolo:20231123164524j:image(ガラス片か水晶か)

拾い上げて見ると、結晶面が確認出来たため、少なくともガラス片ではなさそうです。

f:id:cetriolo:20231123134952j:image(上部が王冠のようなトゲトゲした形)

ただ、水晶よりもズシっと重く、水晶よりも冷たそうな透明感があり、条線の向きも水晶と異なる感じが…。水晶であれば形が良くないのでリリースするところですが、何となく水晶以外の石かも知れないと思ったのでキープし、引き続き周辺を見て回ります。

10分後、近くの水溜りの中に川擦れのような状態になった煙水晶が落ちている見つけましたが、それ以降は特に変わったものも無く、熊と遭遇してもいけないので、30分程で探すのを諦めて帰宅の途に着きました。

f:id:cetriolo:20231123135437j:image(色もサイズも良いが、水溜りの中で擦れたと思われる部分が少々残念)

帰宅後、あの透明な石を洗剤で洗浄し、比重を測ったところ、何と3.59もありました。通りで重みを感じるはずです。

これによって、この透明な石は水晶ではなくトパーズであると判明。洗浄後によく見てみれば、頭のトゲトゲした部分や胴の凹凸部分は、割れや欠けによるものではなく、それぞれが蝕像(溶解によって結晶面に生じた腐食像)だったのでした。

f:id:cetriolo:20231123160834j:image(15g、縦1.6cm×横2.3cm)

以前に岐阜県の川でトパーズ探しをしましたが、その際に見つけたトパーズと比較すると、今回のトパーズはずんぐりしていてボリュームがあります。

cetriolo.hatenablog.com

え?長石の話はどこへ?

そんなもの ウチにはないよ…

という事で、長石を探しに行ったのですが、長石の代わりに蝕像トパーズと川擦れ煙水晶を拾って帰ってきたのでした。