週末がやってきました。いつものように糸魚川へヒスイ拾いに…と思いましたが、天気予報では糸魚川は雨。ならば今回は別の場所にしようと思い、天気が良さそうなエリアを探していると、どうやら福井県は晴れのよう。
そこで今回は、福井県の面谷鉱山へ蛍石を探しに行く事にしました。
さて、この面谷鉱山は「鉱物ウォーキングガイド全国版(松原聡著・丸善株式会社)」にて、車で採取場所まで行けるお勧めの場所として紹介されており、最近でも色付きの綺麗な蛍石が採れるという話です。
天気は晴れ、風も涼しく絶好の採集日和。
大きな橋を渡り、舗装された道から逸れて砂利道を15分くらい進むと、突如開けた場所に広大なズリ(鉱山で出た不要な石の捨て場)山が現れます。
(このズリ山の石の中に、蛍石が落ちてないかを調べて行く)
少しズリ山を見ただけでも、蛍石の欠片が沢山落ちていて期待大。なお、ここで見つかる蛍石の色のバリエーションは白・薄緑・濃緑・薄紫で、その中でも薄紫はレアとの事。
色付き、しかも紫色がレア扱いなのはヒスイと同じだなぁ…等と面谷にいるにも関わらずヒスイの事を考えつつ、蛍石を探す事10分、早速灰色や茶色の石の中に、蛍石の結晶の塊を発見!
大きな母岩から蛍石だけ取れたのでしょうか。コロンと落ちていました。
(おにぎり型)
さらに探す事20分…
(白が多いが仄かに紫色)
(結晶の形が良く分かるもの)
1時間程度で、そこそこ良い感じの蛍石を拾う事が出来ました。
その後は散策。この面谷鉱山、かつては映画館やキャバレーまである大きな鉱山町で最盛期には3000人程も住んでいた程栄えていたそうですが、スペイン風邪の流行で多くの人が亡くなった事に加え、その後は安価な外国産の銅が輸入され採算が取れなくなったこともあり、大正11年には閉山したとの事です。ちなみにスペイン風邪が流行った当時の痛ましい様子は、鉱山奥の石碑に詳しく記載してありました。
今は遺構の一部が残るのみですが、その佇まいは宛らマヤ文明の遺跡のよう。
(烈日の黄銅郷…気分は深界六層に辿り着いたガンジャ隊)
ついでに卑しくレトロ瓶が落ちていないかも探しましたが、廃村になってから随分時代が経ち過ぎているためか、住宅の跡や当時の生活の痕跡は殆ど見つかりませんでした。
(水はかなり透明感があるが、生き物の気配がない…)
(ヘリポート⁉︎廃村後に作られたものだろうか)
なお、面谷鉱山一帯は電波が入りませんので、訪れる際には事故や体調不良に十分に備えておく必要があります。
面谷鉱山の蛍石はブラックライトで青く蛍光するものがあるということで、帰宅後に本日の採集標本にブラックライトを照射してみます。
(照射前)
(照射後)
写真では分かりにくいですが、緑色の部分が青く蛍光する反面、白い部分はあまり蛍光せず(ブラックライトの色がそのまま映って)紫色になっています。
外国産の標本に比べると国産標本は地味な印象を受けますが、面谷鉱山の蛍石は色が鮮やかなので、国産標本の中ではかなり美しい部類に入ると思います。
遺構も含めて大変美しい場所なので、変に観光地化されたり更地にしたりせずに保存される事を願うのでした。