雑多拾いもん

捨てる神あれば拾う神あり… 「博多通りもん」ならぬ、雑多な「拾いもん」について備忘録がてら綴っています。

ホタルイカの恩返し

土曜日の糸魚川の天気は曇りのち雨という事でしたが、花粉が飛び出す前にヒスイ拾いに行きたいと思い、先週に続き糸魚川へやってきてしまいました。

海岸に到着すると今にも雨が降り出しそうな曇天で、風も冷たく感じます。そして肝心の浜の状態は…

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一部石が露出している場所もありましたが、8割方はこのような砂浜でした。…こればかりは到着するまで分からないので仕方ありません。

今日は先週の様な穏やかな波ではありませんので、①石が露出した場所は落ちている石の隙間等を探す②砂浜の場所は頭だけ砂から出ている石のうち怪しい石をヒスイ棒でひっくり返して確認する、という「砂の日戦法」にて探す事にします。

さて、海岸を探せどもヒスイは見つかりません。②の作業を繰り返しているうち、これってタコ焼きをピックでひっくり返して裏側を焼く作業に似てるな…と、何だかタコ焼き屋さんになった気分になってきました。

そんなタコ焼き作業を繰り返しながら3時間半歩いて、結果はゼロ

意気消沈しながら休憩を挟み、気分転換も兼ねて別の海岸に移動する事にしました。

別の海岸に到着すると、とうとう雨が降り出して来ました。車に戻るか悩みますが、まだ小雨な上、海岸では多くの方が雨の中ヒスイ探しを楽しまれていたので、自分も取り敢えず小雨のうちは探す事にします。

こちらの海岸は最初に訪れた海岸よりも多少石が出ていました。

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とは言え、海岸を変えてもそう簡単に見つかる訳ではなく、2時間歩いてもやはりヒスイは見つかりません。しかも最初の海岸では、スルーしたもののヒスイやヒスイ混じりの石自体は一応いくつか落ちていましたが、こちらはヒスイ混じりの石でさえ全く見当たりません。

f:id:cetriolo:20230219110006j:image(ヒスイは見つからないが面白い石を発見、青はデュモルチェライトだろうか)

余りに見つからなさ過ぎて、ヒスイが自分から隠れたり逃げているんじゃないかとすら思い始めました。正月のマグロ番組で、マグロが全然釣れない漁師が言っていた「俺、マグロに嫌われてるんじゃねぇかって思うんだよ。マグロが俺を避けるんだよ。」という台詞も、今なら気持ちが理解出来ます。

そんなこんなで海岸の端まで歩いて来てしまいました。すると漸くここで、小砂利の上にペパーミントグリーンの小さなヒスイを発見。

f:id:cetriolo:20230219092709j:image(15g、比重3.14。写真は色が飛んでしまった)

やっとヒスイが拾えた事に喜びつつ、辺りを見渡すと、沢山のホタルイカが打ち上がっていました。今までヒスイ拾いをしている中で、イワシが大量に打ち上がっているのに遭遇した事は何度もありますが、ホタルイカは初めてです。

まだ生きている個体が居たので、持ち帰って食べる訳じゃないしなぁ…と何の気なしにヒスイ棒で掬って海に還してやった後に振り返り、足元を見ると…

砂浜の上にポンと誰かが置いたようにシャーベットの様な青ヒスイがありました。

f:id:cetriolo:20230219105128j:image(66g、比重3.31)

さっきまで砂浜の上には石1つ無かったので、丁度波で運ばれてきたか、上を覆っていた砂だけが浚われてヒスイが残ったのでしょう。

このサイズで透明感のある青ヒスイを拾うのは初めてです。形は平べったく、全体的に海焼け(特に裏側)がありますが、これも長らく海底に眠っていた証でしょう。

f:id:cetriolo:20230220122042j:image(海焼けの激しい裏側)

色は灰がかった優しい水色で、マダガスカル産の天青石に良く似た、空の色のような形容し難い色合いです。所々に濃いグリーンのスポットがあるのもお気に入り。

f:id:cetriolo:20230223074452j:image(後日、晴れの日の窓辺にて撮影)

丁度ホタルイカを海に還したばかりだったので、このヒスイはホタルイカの恩返しヒスイ」と名付ける事にしました。

その後雨も徐々に強まってきたので、ヒスイ拾い終了としました。

f:id:cetriolo:20230219201442j:image(この日の成果)

青ヒスイは、よく産出地の特徴から「入りコン沢」「横川」「小滝」「青海」等と分けて呼ばれる事がありますが、このタイプはどれに属するのでしょうか。

おそらく「小滝」もしくは「青海」と呼ばれるタイプのどちらかと推測しますが、一色でさえ様々なバリエーションのある事が、やはり糸魚川ヒスイの魅力なのだと感じたのでした。