雑多拾いもん

捨てる神あれば拾う神あり… 「博多通りもん」ならぬ、雑多な「拾いもん」について備忘録がてら綴っています。

ヒスイの色と質について〜その②〜

前回の記事の続きになります(前回の記事はこちら↓)。

cetriolo.hatenablog.com

  • 青ヒスイ

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ヒスイ輝石の結晶構造中にチタンと鉄が含まれたものが青ヒスイです。青ヒスイもバリエーションは様々で、白地に水色の流れる様な線が入ったタイプ(よく横川の青と呼ばれるもの)ソーダ味のシャーベットの様なタイプ、紺色のインクを滲ませた様なタイプ、水色〜緑色のペンキを塗った様なタイプ、銀色に近い色味で透明感のあるタイプ等があります。

糸魚川の海岸で見つかる石の中では、デュモルチェ石・コランダム(青色)と見た目が似ています。青ヒスイは個性的な色で目立つため、海岸に落ちていれば分かるかと思いますが、そもそものエンカウント率が低いので、白や緑に比べると見つけるのが難しい印象があります。

青ヒスイの比重の平均も、緑ヒスイや黒ヒスイと同じ3.18でした。なお手持ちの「横川の青」は全て比重3.0以下なのに対し、それ以外の青ヒスイの多くは比重3.25を超えていましたので、「横川の青」だけは青ヒスイの中でヒスイ輝石の含有率が低いのかも知れません。

 

  • 紫(ラベンダー)ヒスイ

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ヒスイ輝石の結晶構造中にチタンが含まれたものがラベンダーヒスイです。ラベンダーヒスイのバリエーションは、全体的に薄い桃色の透過がないタイプ(ヨシオヒスイと呼ばれるもの)、陶器の様な透明感のある白地に明るい紫が入ったタイプ(妖精ラベンダーと呼ばれるもの)、白地に濃い緑のスポットと青味のある紫のスポットが混在するタイプ(バイカラーヒスイと呼ばれるもの)、薄いペパーミントグリーン地に紫のスポットがあるタイプ等があります。

糸魚川の海岸で見つかる石の中では、曹長岩・桃簾石・コランダム(桃色)等と見た目が似ています。ラベンダーヒスイも色が個性的なために海岸では目立ちますが、青ヒスイ同様にエンカウント率が低く、個人的には青ヒスイよりも出会うのは難しい印象があります。

ラベンダーヒスイの比重の平均は3.03でした。これは手持ちのラベンダーヒスイの数が少なかったため、結果に偏りが出てしまったと思われます。

 

…と、正直なところ、色ごとに分けて比重を測っても(サンプル数が少なかったラベンダーを除き)あまり差はありませんでした。そこで今度は、逆に比重からヒスイを分けてみる事にしました。

手持ちのヒスイ全てを分けるのも大変なので、取り敢えず手頃なサイズのものを

①比重3.05未満

②比重3.05〜3.14

③比重3.15〜3.24

④比重3.25以上

という4つのグループに分けてみた結果、以下のようになりました。

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パッと見ただけでも、①②に比べると③④はカラフルな印象ですが、それぞれのグループを詳しく見ていきましょう。

①比重3.05未満のグループ

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このグループは全体的に透明感がなく、色は薄いパステルカラーのものが多目です。ヒスイにあまり興味のない方に見せると「普通の石」と言われてしまうかも知れません。ヨシオのラベンダーや横川の青と呼ばれるタイプもこのグループになりました。ちなみに黒ヒスイはここに入ってきませんでした。

②比重3.05〜3.14のグループ

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このグループには、白地に明るいグリーンのスポットの入るタイプや、糸巻きヒスイと呼ばれるタイプが多く入りました。また、黒ヒスイも入ってきました。ただ、このグループにも透明感のあるヒスイは殆ど入ってきません。

③比重3.15〜3.24のグループ

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このグループからようやく透明感のあるヒスイが入り始めました。ヒスイにあまり興味のない人でも、海岸に落ちていればヒスイだと分かるものが増えてくるような印象でしょうか。また黒ヒスイの中でも、黒と白だけで構成されたヒスイは②のグループだったのに対し、緑が入った迷彩柄の様なタイプはこのグループに属しているのが興味深いところです。

④比重3.25以上のグループ

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このグループのヒスイは色がハッキリしたものが多く、全てのヒスイに透明感があります。フォッサマグナミュージアムのヒスイ展示室のヒスイに混ざったとしても、そこまで違和感のないヒスイであるように思います。

 

という事で、ヒスイを比重でグループ分けした結果、ヒスイのタイプによって比重に傾向があるということと、比重3.25くらいの境界でヒスイの質がかなり変わってくるという事が分かりました。

もちろん混ざりが多いだけでなく、石の一部が他の岩石になっているタイプ等、色々なヒスイもありますので、比重だけで全てを説明できる訳ではありませんが、ヒスイを棚などに飾る際には、比重3.25を1つの目安にすると良いかも知れません。