雑多拾いもん

捨てる神あれば拾う神あり… 「博多通りもん」ならぬ、雑多な「拾いもん」について備忘録がてら綴っています。

ヒスイの見分け方①〜ヒスイの定義〜

ヒスイ拾いを初めて約1年半、ようやくヒスイを見分けられるようになってきました。

そこで、拾い始めた頃の感覚を忘れないうちに、ヒスイの見分け方について自分なりにまとめて行きたいと思います。

  • ヒスイとは

はじめに、今更ではありますが、このブログにおける「ヒスイ」の定義について言及しておきます。

まず、糸魚川市周辺の海岸で拾えるヒスイは鉱物としてのヒスイ輝石ではなく岩石のヒスイ輝石岩であると言われます。フォッサマグナミュージアムで鑑定の際に頂けるキャプションにも、ヒスイ輝石岩と書いてあります。

そこで、この鉱物と岩石の関係を整理してからヒスイの話に入ります。

鉱物とは「地質学的作用により形成される、天然に産する一定の化学組成を有した無機質結晶質物質」と言われるように、どの部分を抽出しても化学組成が同じものです。

一方で岩石とは「鉱物と天然ガラスの両方または一方により構成された集合体」と言われるように、1つの石ころの中に様々な鉱物が入り込んでいて、化学組成は一定ではありません。

自分はこの鉱物と岩石の関係が分かりにくかったので、カレーの具材とカレーライスに置き換えて考えています。

鉱物はどこをとっても組成が同じなので、カレーライスでいうところの

  • 人参
  • じゃがいも
  • 玉ねぎ
  • お肉
  • カレー粉

といった具材ということになります。人参はどこの部分を食べても人参なので、当然人参の味しかしません。

一方、それらを使って出来た料理がカレーライスです。カレーライスは人参やじゃがいも等の具材が合わさり、1つの料理として成立していますが、組成は当然均一ではありません。スプーンで掬った一口にも人参が入っていたり、肉が入っていたりとバラバラです。ですから、カレーライスは岩石ということになります。

また、具材の量や種類が変わるとカレーライスの味や見た目も変わりますし、ドライカレーや無水カレーのように調理方法による違いもあります。これら違いは岩石の種類の違いと同じようなものと理解しています。

…大分話は逸れましたが、糸魚川のヒスイ輝石は地下での熱や圧力によって曹長岩や他の変成岩を化学変化させることで出来る(最近では熱水による生成説もあり)と言われているため、ちょっとした環境の違い(変成作用のムラ)により、周辺の曹長岩や蛇紋岩といった岩石と多かれ少なかれ混ざり合った状態で産出されます。

そのため、糸魚川の川や海で見つかる石は、鉱物のヒスイ輝石100%であるということは殆どなく、これが糸魚川で見つかるヒスイは「岩石」と言われる理由かと思います。

さらに石によってもヒスイ輝石の含有量にはかなり差があり、9割方ヒスイ輝石と言えそうな石もあれば、半分以上は曹長石だろうというような石もあります。

これらをどこからヒスイと呼ぶか、この辺りはヒスイをコレクションされる方の判断によりけりだと思いますが、自分は下記の条件を満たしたもの(一部例外あり)をこのブログで「ヒスイ」と呼んでいます。

  • 比重が3.0以上
  • ヒスイ独特の結晶が確認できる

大抵、上記の条件を満たした石は海岸でも他の石と違って目立ちますし、フォッサマグナミュージアムで鑑定をして頂いた場合にはヒスイ輝石岩と判定されるレベルの石かと思います。逆にそれより条件を緩くすると、もはやヒスイ輝石としての特徴は失われたレベルの石になってきます。

f:id:cetriolo:20220526113021j:image(丁度このレベルが境界線)

とは言っても、世間一般の方の想像するヒスイというのは、こちらが思う以上に遥かにハイグレードなものなので、最終的には他人からの評価ではなく自分が気に入ったかどうかが大事だと思います。

f:id:cetriolo:20221020122534j:image(世間一般の方が、糸魚川の海で拾えるだろうとイメージするヒスイ)

なお、ヒスイを探す際には「カクカクした白い石を探すと良い」と一般的に言われます。ヒスイがカクカクしているのは、鉱物のヒスイ輝石が非常に緻密な結晶をなしているため固くて割れにくく、海で他の石と擦れあってもなかなか割れたり削られたりしないことが理由かと思われます。また、この白さは鉱物のヒスイ輝石が透明感のある白い結晶であることに由来するのだと思います。

さて、前置きが長くなりましたが、この後からヒスイと間違えやすい石を紹介していきたいと思います。

※次の記事はこちら↓

cetriolo.hatenablog.com