雑多拾いもん

捨てる神あれば拾う神あり… 「博多通りもん」ならぬ、雑多な「拾いもん」について備忘録がてら綴っています。

これはただのビタミン剤じゃ…

まだまだ暑い日が続いていますが、久しぶりに瓶拾いに行きます。

瓶拾いを始めるきっかけとなった憧れの「神薬」「ペロペロ」「金平糖瓶」ですが、ラッキーな事に(1つづつですが)既に手に入れてしまい、ここ最近は満足感からか微妙に瓶拾い熱が冷めてしまっていました。

しかし、レトロ瓶コレクターで有名な庄司太一「びんだま飛ばそ(パルコ出版)」の本をたまたま図書館で見つけて読んでいたところ、新たに欲しくなる瓶を発見!

それは…

ヒロポンの瓶!

ヒロポンとは戦時中から戦後にかけて増強剤や倦怠感除去薬として出回った薬(商品名)ですが、成分はメタンフェタミン…つまり現在でいうところの覚醒剤です。当時は危険性が看過されており、普通に市販されていたのですが、戦後に沢山の中毒者(所謂ポン中)を出し、ようやく昭和24年に劇薬指定されて市販禁止となりました。作家の坂口安吾が中毒だったことでも有名です。

ちなみに何故かヒロポン中毒=太宰治というイメージがありますが、こちらはパビナール中毒です。

とにかく、その曰く付き…というか、アングラなイメージで有名なヒロポンですが、この瓶が非常に小さくて独特の深い緑色(透明バージョンもあり)で雰囲気が良いのです。

その後、ボトルディギングYouTubeやブログを見ていると、他にも

  • 白玉ソース瓶
  • 不可飲瓶
  • ヘチマコロン瓶
  • ひょうたん型ニッキ水瓶
  • 型押しおはじき

といった魅力溢れるレトロ瓶やレトロガラスがある事を知り、これらも拾ってみたくなったのでした。

瓶拾い熱が再燃したところで、やはり向かうはスーパーハケ。あの場所はかつて病院でも側にあったのか、落ちている瓶から生活水準の高さが窺える上に、異様に薬品関連の瓶が多いので、ヒロポン瓶があるはずと予想。

さて、久しぶりのスーパーハケに到着しました。何回も来てはいますが、ヒロポンの瓶は非常に小さい上にエンボスもないので、きっと今までは見落としたりスルーしているはず…と期待しながら探します。

暑さの中で蚊に刺されながら、草を掻き分け探しますが、世の中そう簡単に上手くいくわけもなく。

結局ここでは口が欠けたインク瓶と両口式の大学目薬、そしてヒロポンの瓶に意識が行き過ぎていつもなら絶対に拾わない深緑のノーエンボス瓶を拾ってしまいました。

ここで、ヒロポンは工場での労働者、歓楽街、非行少年による使用が多かったという記事を思い出します。

ならばQOLが異常に高いスーパーハケではなく、酒瓶やリポビタンDの瓶が大量に落ちている旧住宅街のハケの方が可能性が高いのでは?

ということで旧住宅街のハケに移動し散策。ヒロポン中毒者は禁断症状による奇行が目立ったといいます。今日の自分はヒロポン瓶を求めて真夏しかも盆の昼過ぎに杉林をゾンビのような動きで行ったり来たりの奇行をしているという状態。文字に起こすと大差ありません。

ここではペロペロのカケラを見つけ、他には拾いたくなる瓶はありませんでした。

以下、今日の成果です。

f:id:cetriolo:20220501114131j:image(洗浄済)

  • インク瓶

エンボスは右横書きで「朝日工業株式会社」とありますが、調べても同名の別会社(電気炉メーカー)しかヒットしませんでした。インク瓶は大抵洋風なデザインが多い様に思うのですが、こちらはフォントもマークも和風な感じです。口が欠けているのが残念。

  • 大学目薬

大学目薬の両口式点眼瓶。廃村のハケで拾った大学目薬に比べると、形状やデザインからかなり新しい年代のものと推測。状態は新品のように綺麗でした。

  • 謎の深緑瓶

ヒロポン瓶への執着からうっかり拾ってしまった瓶。状態的に時代は新しそうです。ヒロポン瓶にも大サイズがあるようですが、これとは全然形も色も違いました。

  • ペロペロのカケラ

珍しく旧住宅街のハケで見つかったペロペロのカケラ。以前「魔太郎のニッキ水」もここで拾っているので、丁寧に見れば駄菓子系の瓶もあるのかも知れない。

久しぶりの瓶拾いとなりましたが、夏場の瓶拾いはかなりキツいものがありました。

もう少し涼しくなったら、リベンジに向かいたいと思います。