雑多拾いもん

捨てる神あれば拾う神あり… 「博多通りもん」ならぬ、雑多な「拾いもん」について備忘録がてら綴っています。

洞戸鉱山近くの柘榴石

今年の春分の日は残念ながら連休とはならず、1日だけの祝日です。そこで、楽且つ日帰りで行けそうな場所として、かねてから狙いを定めていた洞戸鉱山(岐阜県関市)近くの河原で採れるという柘榴石を拾いに行くことにしました。

洞戸鉱山は美しい深緑の透輝石を産する事で有名ですが、透輝石をゲットするのはなかなかハードのようです。一方洞戸鉱山の近くにある河原にもスカルンの露頭があり、そこでは簡単に灰鉄〜灰礬柘榴石が拾えるという事でした。

何度かこの産地に行こうと思った事はあるのですが、その度に天候に恵まれず見送ってきたため、今回が初めての採集となります。

さて、産出ポイントと思われる場所に辿り着きました。

…ここは露頭というより、普通の河原の砂場といった場所で驚きます。しかし、足元の砂粒をよく見ると、確かに赤褐色の柘榴石が混ざっているのでした。

f:id:cetriolo:20230321171023j:image(普通に河原の砂場だが…)

早速、持参したふるいに足元の砂や石を掬い入れ、川で泥などを流します。

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すると沢山の柘榴石がふるいに残りました。単結晶なら大抵3mm〜1cmのサイズで、結晶面が確認出来るものもあります。

f:id:cetriolo:20230321171750j:image(予想よりも大きい)

ただ、地面にも柘榴石が普通に落ちているので、ふるいがけをするよりも拾った方が楽だという事に気付きました。高品質なものやサイズが大きいものをご所望の方はハンマーなどで砂や石の下にある岩盤を割って探すようですが、こちらは「楽して拾う」がモットーですから、穴を掘ったり岩を割ったりしてしまうと、そもそものコンセプトがズレてしまいます。やはり自分には拾うのが合っているようです。

さて、柘榴石を探す事1時間、それなりに良い感じの柘榴石を拾う事が出来たので終了としました。

予想よりも早く終わったため、折角なので近くにある「モネの池」と「温泉」に寄って帰ることにします。

まず「モネの池」。ここは数年前、クロード・モネの絵画「睡蓮」に似ている池だという事で一気に有名になり、SNSに写真を上げるのがブームになった場所です。一時期は大変混み合ったようですが、今日は比較的落ち着いていました。客層はご年配の方が多かったように思います。

f:id:cetriolo:20230329123307j:image(SNSはやっていないが、来たからには撮る)

不思議なもので、実際に見ると神社等にある何の変哲もない普通の池なのですが、写真に撮ると、まるで絵画や加工したかの様な雰囲気に変わるのです。錯視でしょうか。

モネの池の秘密が分からないまま車を走らせ、今度は更に山奥にある温泉宿「すぎ嶋」を目指します。

ここは「日本秘湯を守る会」の会員宿で、日帰り入浴は15時まで可能です。

f:id:cetriolo:20230321174953j:image(安心と信頼の「日本秘湯を守る会」提灯)

古民家風の佇まいに、建物内は竹炭の様な香りが漂っており、洗練された雰囲気があります。

また、温泉は仄かに硫黄の香りのする無色透明のトロッとした泉質で、露天風呂やぬる湯もあるため、ゆったり過ごせました。

f:id:cetriolo:20230321175538j:image(大正時代風の湯上がり処も良い)

温泉宿を出ると、外は雨。明日の仕事に響いてもアレなので、早い時間ですが帰宅の途に着きました。

帰宅後、柘榴石を水洗い。

f:id:cetriolo:20230321180742j:image(本日拾った石)

透明度は低く、その多くが歪な結晶ではあるものの、一目で柘榴石と分かる標本に満足です。

f:id:cetriolo:20230321180832j:image(これは拾った中で唯一、全面に欠けがない完全な斜方12面体の単結晶だったもの、8mm)

人間とは我儘なもので、良いものが拾えないとストレスが溜まり、こう簡単に拾えてしまうと今度はカタルシスを感じられない…。

それを思うと、やはりヒスイ拾いはバランスが良いと感じたのでした。