雑多拾いもん

捨てる神あれば拾う神あり… 「博多通りもん」ならぬ、雑多な「拾いもん」について備忘録がてら綴っています。

モスとウランガラス

日曜日、天気が良いので先日見つけた「墓地裏のハケに再びやってきました。

さて、早速1番派手にハケっている場所から捜索を開始します。

このハケ、かつての住民がガラスや陶器を割ってから捨てていたのかと思うくらい、無傷の瓶や皿が少なめです。

また、年代的に落ちていてもおかしくない目薬瓶(両口式点眼瓶)が1つも落ちていません。

もしかしたら、既にボトルディギング趣味の方が訪れていて、気に入った物のみ拾われていった後なのかも知れません。

取り敢えず、目を凝らして草の隙間や瓦の下などを見ていきます。

ここで、憧れおはじきの1つ、「じゃんけんおはじき」を見つけます。

おはじきがあるという事は、子供が居たという事…!周囲をくまなく探すと

  • ひょうたん型ニッキ水の瓶(口の部分が欠損)
  • 大ペロのカケラ
  • インク瓶
  • ビー玉
  • 丸薬瓶

が見つかりました。

また、一際目立つ黄緑色の割れたコップも発見。ウランガラスかも知れない…と期待を込めて拾います(過去に何回も外れていますが)。

…しかし、探すのに夢中になって今まで気がついていませんでしたが、よく見ると一帯の地面や落ちているガラス片の上に黄緑色の小さな葉っぱの様なものが大量に乗っています。

よく見ると、全て蛾の幼虫でした。

色も動きも可愛いのですが、あまりに多過ぎて辟易してしまいます。歩いて潰してしまっても可哀想なので、今日はこのハケの捜索を打ち切る事に。前回訪れた時は居なかったので、おそらく雨が降った後の快晴で一気に孵化したのかも知れません。

短時間の捜索となりましたが、帰宅後に瓶を洗浄し、恒例の素性調査(以前紹介したもの等は割愛)

f:id:cetriolo:20220613222651j:image(本日の成果、うち3つは割れている)

  • エンゼルインク瓶

エンゼルインクはどうやら昭和中期頃まで販売されていたと思われるインクブランドで、瓶の口がスクリュータイプのものや、表記が「ANGEL」になっているものもあるようです。今回拾ったこちらの瓶は、側面に「ENZERU」とエンボスがあることやスクリューではないことから、かなり古いタイプ(大正〜昭和初期)と思われます。

f:id:cetriolo:20220613204535j:image(ENZERUのローマ字表記に80年代のお土産キーホルダー味を感じる)

  • じゃんけんおはじき

ガラスのおはじきは明治時代に入ってから製造が開始され現在に至りますが、古いおはじきの中には数字やアルファベットが刻印されたものや、「型押しおはじき」と呼ばれる動物や植物等を象ったもの等の変わり種おはじきが存在します。今回拾ったおはじきは、変わり種おはじきのうち、グー・チョキ・パーが刻印された「じゃんけんおはじき」と呼ばれるもの。ただ、製造された時期や遊び方等までは分かりませんでした。

f:id:cetriolo:20220613210801j:image(チョキなのかパーなのかハッキリしないので、イカサマが出来そう)

  • 黄緑色のコップ

今回拾った中で1番気になっていたのが黄緑色のコップです。割れていますが、ウランガラスかも…と期待して持ち帰ってきました。さて、暗がりに持ち込み紫外線ライトを照射すると…

f:id:cetriolo:20220613211932j:image(パッと見、火焔型土器…)

ウランガラスでした!ラッキー!

改めてウランガラスについてお話すると、ウランガラスは1830年代にヨーロッパで製造開始された放射性鉱物であるウランを着色剤として使用したガラスです。日本では大正〜昭和初期に製造されたそうですが、その後戦争や着色技術の向上等複合的な理由により、世界的に製造されなくなりました。現在ではアメリカやチェコにて、コレクター向けにほんの少し製造されているだけのようです(国内では岡山県人形峠で国産ウランを使用したウランガラスを製造販売しているとの事)

今となっては希少なウランガラス。そんなウランガラスを使ったガラス製品は丁度レトロ瓶の時代と重なっており、ハケにて見つかる事が稀にあるのです。

スーパーハケにてウランガラスを見つけて以来の1年ぶりのウランガラス。欲を言えば、完品であって欲しかったけれど、またそれは別の機会でゲット出来ると信じます。

取り敢えず、ハケのモス達が「繭割って蛾になるマイノリティ」になる日まで、あのハケはそっとしておこうと思ったのでした。