ヒスイとキツネ石や曹長岩と見分けが付くようになったヒスイハンターを最後まで悩ませるのが、「ロディン岩」です。
キツネ石や曹長岩は比重が小さいのでヒスイと区別が付きますが、ロディン岩はヒスイと比重が大して変わらない(3.2前後)ので、比重では判別が難しいのです。さらにロディン岩とヒスイは連続することもあるので、一つの石の一部がヒスイ、一部がロディン岩ということもあります。
そのためか、長らくヒスイ拾いを続けられているハンターさんのブログやYouTube動画でも、稀にロディン岩がヒスイと紹介されていることもあり、自分のような初心者はますます混乱してしまいました。
では、ロディン岩とヒスイはどのような違いがあるか、写真とともに解説していきたいと思います。
ロディン岩
ロディン岩は蛇紋岩に伴って形成されるカルシウムを含む珪酸塩鉱物からなる岩石で、ヒスイ輝石岩と同様に変成岩の一種です。ヒスイと出来る環境が似ていますが、ヒスイ輝石の化学組成はNaAlSi2O6なのでカルシウムを含みません。その違いなのかは分かりませんが、ロディン岩の方はチョーク(炭酸カルシウム)や紙粘土で作ったような粉っぽい雰囲気があります。
(全体的に丸みを帯びた歪な形)
- ロディン岩の緑の入り方
上の写真のロディン岩は、典型的なロディン岩の緑の入り方をしています。ロディン岩には明るい緑の毛糸屑を紙粘土に混ぜたような流れる感じの緑色がよく見られるのに対し、ヒスイはどちらかというと、布に水性絵の具をちょこんと滲ませたような緑の入り方をしていることが多いように思います。
(左がロディン岩、右がヒスイ。ロディン岩の緑色の方が流れる様に入っており表面的)
- ロディン岩の緑色
ロディン岩の緑色はキャベツやずんだ餅のような明るい緑色や黄緑色です。一方、ヒスイの緑色は海の様な少しだけ青みを含んだ緑色です。
(左がロディン岩、右がヒスイ。似た色味の石を選んだが、それでもロディン岩の方が黄色っぽい緑色)
- ロディン岩の透過
ロディン岩は殆どの場合、ペンライトを当ててもあまり透過せず、透明感がありません。
(左がロディン岩、右がヒスイ。一見色や雰囲気が似ているけれど、アップで見ると…)
(左のロディン岩は透明感がないが、右のヒスイは表面が薄い求肥に包まれたようなふんわりした透明感がある)
- 結晶
ロディン岩は紙粘土のような質感なので、表面にキラキラした結晶は殆ど見られません。
(ヒスイの表面にはキラキラした結晶がある)
ただ、ロディン岩にも非常に美しいものがあり、それらは正直なところ、ヒスイ輝石の含有量が低いヒスイ輝石岩よりも断然綺麗です。ついついヒスイばかりに目が向いてしまいますが、決してロディン岩はヒスイのパチモンではなく、ロディン岩はロディン岩で結構見ていて楽しい石だと思います。
ヒスイにも沢山の例外があるので、結局総合的に判断することになるのですが、ヒスイと他の石との違いは、
- カクカクとした形
- 薄い求肥で包まれたかのような透明感のある質感
- キラキラとした結晶
- 表面的でなく、内側から滲むような色合い
- しっとりとした手触り
ではないでしょうか。もっとも1番については、宮崎海岸などで見つかるヒスイは流れ着くまでに長い年月がかかるため、他の石とのぶつかり合いが多く生じたことにより丸くなることもありますし、ヒスイ輝石の含有量が低い箇所がある場合にはそこが削られて丸くなることもあります。個人的に、2番が最もヒスイとそれ以外の岩石との違いであり、ヒスイの品や美しさに繋がっているのではないかと感じています。
ということで、長らく語ってしまいましたが、この記事がヒスイ拾いで悩まれている方のお役に少しでも立てられたのなら幸いです。